一人の火影

軽い死ネタ表現あり。
本文:406文字
おじサスナル。

 里の住人に持て囃される長がいた。
 しかし火影を象徴するマントは誰も目にしたことが無い。常に黒を纏い人前に出る事を嫌う長は、それでも人望を集めてしまうのだ。
 今日も今日とてこの里は平和だ。商いは円滑に、教育は適切に、行楽は切り捨てる。いざこざもなく、どこを見渡しても笑顔に満ち溢れている。
 里の様子をぼんやりと眺めていると、火影のドアがノックされた。
「七代目、お話が」
「なんだ。そこで話せ」
「四代目風影様から封書が届いております」
「捨てておけ」
 短い返事のあとに遠ざかる足音。長――うちはサスケは溜息を吐いた。
 他里にかけた幻術が解けつつあるらしい。この里の様子を伺ってきたということは、幻術が解けて時間も経っている。またかけ直さなければならない。
 ふと呼ばれた気がして膝の上で眠る存在を見る。
「大丈夫だ、うまくいくから。おまえの里はオレが守る」
 嬉しそうに笑った気がして、サスケの頬も緩む。冷たい頬をなぞり、そっとキスをした。